2010-06-17

京北産葉枯らし乾燥材ストックと供給」協議会 第1回

@よしやまち町家

 本会ではかねてより京の近山,京北で産する葉枯らし乾燥材(以下,葉枯らし材)のストックを目指してまいりました.昨年度は実験も行ない,いよいよ実現のための具体的な協議の会合を持つまでになりました.その1回目.今回は,木を動かす源である山側の会員の意見を聞くことが中心です.

全体像の確認 最初に代表より,この活動の全体像の説明.葉枯らし材の調査・研究,いまあるシステムを内包する形での京北産葉枯らし乾燥材の流通システム構築,地域型木造住宅の普及を促進,などなど.いずれは作成中のHP上で,きちんと紹介する予定.

本活動の問題点 抽出―伐採地域について  「京北の木」と言うとき,それは「京都市京北」の木でなければならないのか―伐採地域の問題が初めに取り上げられた.当然,山の中に市町村の境界線が引いてあるわけではなく,林家の多くは隣接する地域に山を持ち、仕事場をもっている.また,今後長期間にわたり木を伐り,街へ出すことを考えると支障をきたす可能性もある.そこで本会でいう「京北の木」= 京北を中心とした隣接域で産する木,ということになった.ただし、どこの山の木であるかをきちんと把握できるというのが条件である.

本活動の問題点 抽出―製材の種類について  山で伐採した木は乾燥ののち,木材として使えるように製材する.どんな樹の種類をどの大きさに製材するのかは,適材適所で木を使おうとすると自ずからある程度決まってくる.実際に木材を扱う材木業の会員から現状と意見を聞いた.結果,昔から使われてきたマツの梁の代わりに使えるスギの平角材を期待されていることがわかった.ただ、平角材は間伐材からは取れないこと、また乾燥させると表面に割れが生じやすいことなど問題もある。表面だけの割れはほとんど木材の強度には影響しないが、見た目から敬遠される。もっとエンドユーザの方々にも木の割れと強度の関係を知っていただくように努力せねばならない。

本活動の問題点 抽出―適材適所  京北では非常にすぐれた木を産する一方、すべてが素晴らしい材とはいえない。そのままでは問題がある木も加工の仕方や使う場所によっては、材として問題なく使えることもある。「適材適所」でやっていけるシステムも考える必要がある。

先学にならう  何事も一から全てを作り上げることは、難しい。本会のように川上と川下を結ぶネットワークの先進的な例として、隣の滋賀県の「安曇川源流域・森と家づくりの会」がある。とてもいい活動をされており、本会顧問の鈴木有先生も関わっておられるので、お願いして見学をさせていただくことになった。

次回以降は  今回は先に触れたように山側の方々中心の会合だったが、次回からは工務店の方に参加してもらい、価格や資金、材の要求などについて話し合うことになった。また、昨年度から行っている葉枯らし材の実験・分析についての今後のスケジュールも詰めていく。

 本会は様々な立場の会員から成っているので、それぞれの意見があります。そのいずれにも一理があるものです。 川上側の方々の意見に偏向しても、川下側の考えにかたよっても、今後の山と街を結んでいけません。この記事を読んでくださっている皆様にも、山と街を結ぶ活動への理解を深めていただきたいと思います。そのために本会では情報の開示やイベントの展開などをして参りますので、応援よろしくお願いいたします。