2012-05-22

2012年度 第1回 会合

年度代わりの騒がしさもようやく落ち着き,久しぶりに会合がもたれました.
今回は,山や地域の現状に興味を持ってくれた現役の学生2人も出席です.
議題は大きく分けて3つ.
まずは,国土交通省が参加グループを募集している「地域型住宅ブランド化事
業」について.
(詳細はこちら→ http://www.chiiki-brd.jp/
この事業は、木材を生産する山側から地域の設計者・工務店までが連携して
域の気候・風土にあった良質で特徴的な「地域型住宅」をつくることを
支援するものです.その目的は,地域経済の活性化や地域の住文化の継承
及び街並みの維持・保全、森林・林業の再生等にあるとしています.
この目的は,当ネットワークの活動と合致するところです.
しかしながら,当ネットワーク単独での参加は見送られることになりました.
なぜなら,「地域型住宅ブランド化事業」の補助対象となる住宅の条件に,長期
優良住宅であることが含まれているからです.
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「長期優良住宅」とは,
http://www.nihon-kinoie.jp/knows/special01/special_05.html 
と説明されているように,世代を越えて住み続けられる快適さを追求した住宅です.
一方で,その地域に根ざした伝統的な住宅は何世代にもわたって人が暮らしてき
て,その耐久性は実証されていますが,長期優良住宅には当たりません.
両者の大きな違いは,断熱性能にあります.
伝統的な住宅では軒を深くして風を通すことで夏の暑さをしのぎ,ガラス戸と障
子などに挟まれた外部と内部の中間領域を設けることで冬の寒さを緩和します.
一方で,現代の長期優良住宅の場合は,高気密・高断熱の魔法瓶のような状態に
することで省エネルギーを目指します.ただし,このときの省エネルギーとは
冷暖房の設備に費やされるエネルギーを節約しよう,というものです.
見方を変えれば,設備機器に頼らないと暮らせない住宅といえるでしょう.
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当ネットワークの理念は,
地域産の材を使い,地域の気候・風土・暮らし根ざした住宅をつくり,京都の川
上と川下をよりよくつなぐこと
であるので,現在見られるような長期優良住宅とは相反することになります.
会合では,国も地域の風土にあった本来の長期優良住宅を推す方向にあったはず
で,今回の「地域型住宅ブランド化事業」もそのあらわれとして捉えられ,また
そう主張すべきとの意見がメンバーから出されました.
京北の木で家をつくろうネットワークのメンバーの活動のなかから,本来の長期
優良住宅の考えかたに沿ったモデルになるような家が提案できたらいいと思います.




次の議題は,葉枯らし乾燥材に関してです.
当ネットワークでの葉枯らし材の乾燥実験も2年越しになりました.
ご協力いただいている京都大学の先生方に,昨年の実験材のその後の調査デー
タ・巻き枯らしの6本(3本を伐採)の状況を,確認いただくことになりました.
葉枯らし乾燥材の強度・成分についての実験は当ネットワーク以外でも多く行わ
れています.しかしながら,樹は地域の気候などによって性質が異なるため,京
北材で行うことに意味があります.巻き枯らし材の実験データは他地域のものも
少ないようなので,こちらの結果も待たれます.
せっかくの葉枯らし乾燥材,しっかり使わねばなりません.
まだ山に立っている巻き枯らしの3本の内1本については、住吉代表が新築物件
のお施主さんを山に連れていって、伐採儀式を行う旨、了承しました。自分の家
を建てるのに使われる木を山で立っているときから見られるというのは,お施主
さんに喜んでいただけるかと思います.
京北森林組合吹上氏によれば、既に伐採済の葉枯らし乾燥の木からは,15mm程
度なら400枚ほどのストックができるとのことです.


議題ではありませんが...
今年から神戸市勤務となった葭田さんによる,京北の木ネットワークの立ち上げ
から今の活動にいたる経過を主題とした修士論文の報告がありました.いくつも
の組織に所属しながらも,その組織に強く組み込まれる度合いの小さい個人が個
人的な範囲で活動の負担を支えられるところで,様々な業種間での早い行動につ
ながり得た面に,ソーシャルキャピタルとしての評価が認められるとの分析でした.


次は近いうちにイベントのご案内をしたいと思います.
おたのしみに...

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